日本ではあまりイメージが湧かない国、というよりも怖い印象があってイメージが悪い国なのではないでしょうか。
イスラム国とかアルカイダの影響でイスラム教やアラブ諸国全体がテロリストのイメージだったり、
アメリカがイランをテロ支援国家に指定したり「悪の枢軸」と呼んだりもしています。
しかし、行ってみたらイメージががらりと変わりました。
ヨリコに至っては、世界旅行の中で最も印象が良く、また行きたい国と言ってはばかりません。
どんな国だったのか、ご紹介します。
行く前のイメージ
日本人のイランのイメージといえば、ざっくりこんな感じでしょうか。
・アラブ諸国=イスラム教=テロ、人々はきっと危険思想の持ち主だらけだろう
・アラブ諸国なんて砂漠と石油とドバイ以外何があるのかわからない
・イランとイラクって何が違うのかわからない。というかほぼ同じだろう
・イランはテロ支援国家らしい。ということはやっぱり危険だ
これをイラン人が聞いたら、きっと驚くだろうな。
そんな風に思われているとすら、微塵も思っていないに違いない。
なにより、ほとんどのことが事実と異なる。
ただ、そんなイメージだからこそ、ヨリコも、ヨリコの家族も、周りの人たちも
・危険じゃないの?犯罪とか大丈夫?
・生きて帰ってこれるの?アルカイダとかイスラム国に連れて行かれないの?
・自爆テロとかミサイル飛んできたりとかしないの?
的な反応。
最後の自爆テロとかミサイルとは、テロリストがいる地域に近いだけにリスクがないではないけど、
フランスのパリ、ベルギーのブリュッセル、イギリスのロンドン、アメリカのボストンやニューヨークでテロが起きており、
むしろ日本を含めて世界中のどこでもリスクにさらされている。
ところが、世界一周をしているような人たちにとって、イランはすこぶる評判が良い国です。
(世界一周をするような人しか渡航先として検討しないのかもしれませんが)
そして口を揃えて言う(ブログに書く)のは、人が良い、ということ。
ちなみにコナンの印象としては
・イスラム教の文化は馴染みが薄いものの、キリスト教徒まったく違っており、とても興味深い
・イランの場所はイスラム教よりも以前にペルシャ帝国として栄えた場所として歴史があり、ケバブやドルマなどの料理を始め、文化を発展させた経緯を持つ
・世界一周をしている人を中心に、行ったことがある人の評価が圧倒的に高い
・一方でイスラム法に厳格であり厳しいお国柄であるかもしれないこと、そして未知であるが故の予想できないトラブルに巻き込まれる可能性がある
・場所柄テロの可能性は否定できない
ということで概ね肯定的であるも、やや恐れもあった。が、当然のように興味が勝った。
行ったことがある人がいて、しかも評価が高いわけだから。
本当に人が良かった
イラン到着前から、テヘランに向かう飛行機でイラン人の人なつこさとおおらかさに驚いたのですが、
到着してからも、イラン人のおもてなし精神と人なつこさに完全にノックアウトでした。
まず外国人に興味津々。
すぐに話しかけてきて「Welcome to Iran!(イランにようこそ!)」と昔のRPGの村人Aのような声をかけてくれる人多数。
そして有名人かのように「一緒に写真撮って」と言ってくる。
そればかりか「俺を撮ってくれ」とカメラを指さしてポーズを撮ってくる人もいる。
そして家に招かれたらこのおもてなし。
他にも、客人にはプレゼントをすべしというのがイスラムの教えにあるんだとかなんとかで、プレゼント攻めに遭う。
そして、何かと良くしてくれる。
日本人のおもてなしなどかすんでしまうくらい、本当にいい人達であり、かつもてなし上手でした。
人々の生活
がつがつしておらず、どちらかといえばおとなしい。
街並みも文化もかなり洗練されており、一方でハデさはあまりなく、とても穏やかで質素な暮らしぶりでもある。
結婚式や誕生日会など、パーティともなればみんなで踊り出すのですが、
お酒を飲むことはないからか、バカ騒ぎ、までにはならない。でもちゃんと楽しむ。
家族で集まってごはんを食べる。
イラン人は、レストランではなく家族のごはんが一番と思っているらしい。
そして夜に友達と語り合うのは、居酒屋ではなく、レストランでもなく、なんとアイスクリーム屋かピクニック。
大型バイクを乗り回す若者は、アイスクリーム屋にあったレトロなブリキのサッカーゲームで盛り上がっていた。
とってもとっても、平和で穏やかでほほえましい。
若者の将来の夢
会話で興味深いことはたくさんありました。その中からひとつ。
出会ったティーネイジャーの将来に関する話はとても興味深かった。
18とか19くらいの女の子ふたりは、こういうことを言っていた。
- 日本には歌手が多いって聞いたけど本当?イランには歌手なんてほとんどいない。特定の人たちだけ。歌手が夢って言う人もまずいない。
(でも、みんな音楽は聴きます。ダンス曲や流行の曲もあります。なんなら口ずさんでいるのを聞いても音痴でもなく、踊りが大好きです) - 医者になりたい。医者は自由に金額設定ができるから。イランには医者になりたい人がすごく多くて、試験は狭き門なの。
- アメリカに行きたい。でも今は行けないからカナダに留学する。でもいつかアメリカに行きたい。See you in America!(別れの際に言われた言葉「じゃあね。アメリカ会おう」)
(イラン人でアメリカに行けないのでカナダに留学、もしくは住んでいるという人はとても多い)
日本と違うところがたくさんです。
他にもたくさんありますが、それは今後の投稿で。
とはいえ、残念に思ったこともある
人がとても良く、街はきれいで、王宮やモスクなど魅力的な観光地もあり、料理もおいしく、物価も安い。
と、大変結構なのですが、観光客として残念なこともあります。
大きくは以下の3つ。
- お酒を飲めないこと
- インターネットが遅く、そして規制が多いこと
- 暑いこと。とりわけ、女性は肌が出せず、外ではヒジャブも必要なためますます暑い
お酒を飲めないこと
これはもう我慢しましょう。
毎回ノンアルコールビールでいろんな種類を試してましたが、個人的にはそれでもなんか満足でした。
イランは古代ペルシャ帝国時代はワインを作っていたに及ばず、お酒が集まる場所であったようで
その名残が何千年も続いて、イスラム教支配下であってもお酒好きが続いていたんだとか。
イラン革命までは普通にお酒を飲んでいたらしいので、完全に禁止されているのはここ40年ほど。
おかげで、外国人向けのごく一部を除き(滞在中はまったく見かけませんでしたが)流通していないはずなのですが・・・・
(ご参考)イランのアルコール消費量は年間6000万リットル 禁忌じゃなかったの?
噂では、密造している人や、密輸入している人もいるようですが、
見つかったら逮捕されて罪に問われるので、とっても危険です。
気温が暑いこと
もうこれはどうしようもない。暑い。
と言っても四季があって、実は東京と同じような気候変動をしています。
(ご参考)地球の歩き方「イランの気候と天気」
で、春秋冬の気温は東京都ほぼ同じで、最低気温も年間通してほぼ同じなのですが、夏の最高気温だけやたらと暑い。
そして、降水量も少ない。
完全に砂漠気候。
というわけで夏に行くと相当に暑く、日差しも強く、特に女性は大変なことになります。
そして、室内の冷房の効き具合も半端なく、夏休みに行く場合はお気を付けて。
インターネットが遅く、そして規制が多い
ネット世代としては、これが結構つらい。
旅行中にいろいろアップしたいこととか連絡を取りたいことがあっても、なかなかうまくいかない。
現地で情報を調べようにも、それもつらい。
まずスピードでストレスがたまる。写真だけでも重すぎる!というほど遅い。
速度について、テヘランはまだマシとは言えそれでも3G以下であり、地方になると極端にひどい。
加えて、Facebookを始め規制が多く、中国のような状態。
にもかかわらず、イランで流行っているSNSはInstagramとFoursquare。
いずれもFacebookのように規制を受けておらず、いろんなビジネスも活用している。
写真や動画のアップは重たいだろうに。。
なお、インターネット事情はこちらに記載していますのでご参考までに。
総合としては
観光地の観光だけの魅力で言うと、めちゃくちゃ高いわけではありません、
王宮やモスクなど、とんでもなくきれいなものもあります。
実際、世界のいろんな場所に行った中でも屈指のきれいさでした。
とはいえ、他にも勧められる場所はありますし、情報が少ないこともあり、
海外初心者に手放しで勧められる場所でもありません。
でも、人との出会いを楽しむのであれば、これほど良い国はないんじゃないかと思います。
本当にいい人達ばかりで、知り合ったすぐから「うちに来い」が始まり、大歓待を受けます。
とはいえ、リスクもあるので気をつけないといけないことから、旅慣れた人にはお勧めです。
旅慣れていない、しかも女性のみとかであれば、用心に越したことはありません。
行くのであれば、人との出会いによるプラン変更を容易に容認できるようにするため、
がっちりと計画を固めず、何もなければ行きたいところ、とリストしながら行くのが良いと思います。
あ、そうそう。
Airbnbは使えませんが、Couchsurfingは使えます。
計画的に人と出会うならば、ぜひ使ってみてください。
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