カイロからルクソールまで、電車で10時間半かけて、657kmの移動。
2016年現在、カイロ→ルクソール→アスワンの路線のみ、外国人は夜行寝台列車しか買えません。

しかし、価格も安く、昼発でナイル川沿いの「世界の車窓から」気分も味わえる、
禁断の日中列車の乗車にチャレンジしてみました。

その体験と乗り方についてシェアします。

事前に調べてみたところ

カイロ→ルクソール(→アスワン)を通る路線は、1日17便もあるようです。
そのうち、寝台列車はなんと3本、急行が10本(寝台でない夜行列車含む)あります。

調べたサイトによれば、カイロからルクソールだと以下の金額らしかった。

  • 普通列車         42E£(約504円) ※エアコンなしもあり
  • 急行列車 二等車両    48E£(約576円)
  • 急行列車 一等車両    94E£(約1,128円)
  • 寝台列車 寝台二人用個室 80US$(約8,400円)

※実際には金額は異なりました。公式Webサイトで調べてみてください。
ただし、寝台列車のみこの金額のままでした。

まず、寝台列車のみ通貨が違います。ドル建てです。
窓口でエジプトポンドで支払うことも可能らしいですが、おそらくレートは悪いでしょう。

寝台列車は夕食と朝食付き、個室で洗面台もあり、かつベッドで寝れるので、
寝台列車としては格安であるものの、急行の一等車両と比較すれば7倍弱の開きがあります。
そしてなにより、夜なので「世界の車窓から」ができないのです。

というわけで日中列車を選ぶことにしたものの、外国人はチケットが買えないらしい。
外国人が乗った列車を狙ったテロが発生したことを受け、その保護を目的に、
外国人が乗る列車を夜行寝台列車に制限し、軍隊が乗り込んで保護する、というのが公式な理由らしい。

が、それでも乗りたい人のためのオプションは以下の通りらしい。

  1. 駅の窓口ではなく、オンラインでチケットを購入する
  2. エジプト人にチケットを買ってもらう
  3. チケット無しで列車に乗り込み、車内改札する車掌からチケットを購入する

というわけで、上記の順にチャレンジしてみました。

ちなみに、オンラインでは「Cairo」と選択しますが、実際の駅の名前は「ラムセス駅」であり、なぜかGoogle Mapsでは「エジプト駅」と表示されています。。

カイロの駅(ラムセス駅)外観。Google Mapsではなぜかエジプト駅と表示される。

カイロの駅(ラムセス駅)外観。Google Mapsではなぜかエジプト駅と表示される。

 

チャレンジ① オンラインでチケットを購入する

公式Webサイトで、クレジットカードでチケット購入が可能なシステムがあります。
まずは会員登録をして、それから電車のスケジュールを選んでチケット予約をします。

①電車の日時等の条件を入力する。日付は説明無しだが、DD/MM/YYYYフォーマット。 ②電車を選択する ③乗る人の名前等を入力する。ミドルネームが必須項目なので母親の旧姓などを入れてみる。

で、クレジットカードによる支払いの画面に進み、支払いも承認されるのですが、

チケットの購入はできませんでした。
(approvedと出た後、エラーになります。カードへの課金はされません)

というわけで。サイトから日中列車のチケット購入はできませんでした。

なお、寝台列車の普通席は選択できますが、
寝台コンパートメントは選べなかったので、このサイトから買えないようです。
(国営でありつつ別会社のようで、こちらのサイトから予約できます)

 

 

チャレンジ② エジプト人にチケットを取ってもらう

泊まらせてもらっていたKamiliaが駅までついてきてくれるというので(職場が近い)、
お願いして窓口にチケットを買いに行ってもらいました。
(オンラインだと名前やIDの入力も必要で、車内で照合されたらアウトであるため)

ついていっていないので、どういうやりとりがあったかはわかりませんが、
誰が乗るのか、が必要っぽく、やはり外国人が乗るのはダメだったようです。

ラムセス駅内。ニューヨークのグランドセントラルとまではいかないけど豪華。

ラムセス駅内。ニューヨークのグランドセントラルとまではいかないけど豪華。

なお、駅での事前改札はないので、駅の入口に金属探知機など荷物検査の人はいますが、
改札はありませんので、普通にプラットフォームまで入れます。

プラットフォーム。電車は基本遅れますが、それなりに多くの人が待ってます。

プラットフォーム。電車は基本遅れますが、それなりに多くの人が待ってます。

プラットフォーム間は階段もありますが、線路を渡る人が多い

プラットフォーム間は階段もありますが、線路を渡る人が多い

 

チャレンジ③ 車内でチケットを購入する

というわけでチケット無しで乗り込んで、車掌からチケットを買う手段しかなくなりました。

とりあえず1等車両に乗り込んでみます。
入口で荷物預かりサービスがあり(定額制でなく、降車時にチップを渡す)、預ける。
そして、とりあえず空いている席に座ってみました。

チケットを事前購入すると指定席なので、誰かが「そこは俺の席だ」と言われたら
立たなければなりません。

加えて、そもそもチケット無しで乗り込んで大丈夫なのか?という不安があり、
事前調査ではみんな大丈夫だった、と書いてあったものの、
人によって対応が変わることなど良くあるので、結構そわそわしてました。

1等車両内。1列が1+2席構成。座席は広く快適だが、掃除は行き届いていない。

1等車両内。1列が1+2席構成。座席は広く快適だが、掃除は行き届いていない。

電車が動き出し、ラムセス駅を出発しました。

ラムセス駅が始発ながら、すでに座席は満員で立ってる人もいて、申し訳ない感じと、
チケット無しはまずかったんじゃないか(4時間立ち続けになるんじゃないか)という不安が襲ってくる。

他の席では、「そこは俺の席だぞ」的にチケットを見せながら席を交代している姿が。
しかし、僕たちには誰も声をかけてこなかった。

助かったか?と思ったらすぐにギザ駅(El-Giza)に到着。
ここでもたくさんの人が乗り込んできて、通路も結構人がたまっている状態になった。

そしてやはりまた「そこは俺の席だ」的交代が何組か行われており、
気が気じゃ無い状態で、でも誰とも目を合わさないようにしていたら(せこい)、
結局誰にも声をかけられないまま、またギザ駅を出発した。

 

そして30分ほどした頃、ついに車掌が車内改札に現れた。
緊張の瞬間。

車内改札する車掌

車内改札する車掌

前の乗客の対応を見ていたら、見事にみんなチケットを持っている。
誰も車掌からチケット購入なんかしていない。

大丈夫か?

そしてやってきた車掌。
英語でチケットを出せと言ってきたので、買いたいんだけど、と言ってみた。

 

ら。

 

にこやかに了解、と後ろにいた白髪の紳士に声をかけ、料金を言われ、あっさり購入できました。
オンラインで調べた金額(ひとり114E£)に近い、ひとり120E£(1,440円)でした。

手書きでチケットを渡されましたが(ふたりで1枚)、まったく読めず、さっぱりわかりませんが、座席番号は見当たりませんでした。
(アラビア語の数字も覚えたのですが見当たらない)

渡されたチケット。個人情報ダダ漏れだったりして。もはや芸術

従って、引き続き指定席で買われている危険はあるものの、外国人も問題なく乗れちゃいました。

ちなみにトイレは線路に直通

ちなみにトイレは線路に直通。駅停車中は使用禁止との注意書き。推して知るべし。

 

世界の車窓から

ギザ駅を出て少し経つと、ルクソールまで(というかアスワンまで)延々ナイル川沿いを走ります。
以下、悠久のナイルの景色をお楽しみください。

と言いたかったのですが、見事に景色がほとんど変わりませんので、一枚だけ。

夕方のナイル

夕方のナイル

 

車内は結構快適でした

もし事前に指定席チケット買われてたら立たなきゃいけない事態でしたが、なんとか最後まで座れました。よかった。

10時間半は長かったですが、席はゆったりだったのであまり腰も疲れず。ブログ書いたりゲームしたり近くの子供と遊んだりして時間をつぶす。

ずっと遊びにきてくれた男の子。自分の舐めさしの飴をくれて嬉しかったけど困りました。なお、お母さんがすごく美人でした。

ずっと遊びにきてくれた男の子。自分の舐めさしの飴をくれて嬉しかったけど困りました。が、お母さんがすごく美人でした。

車内販売もありました(オフィシャルもあり、勝手販売や寄付を求める人もあり)が、買わず、持ってきたお菓子だけでしのげました。

後から知りましたが、バーのようなクラブカーもあります。
もちろんお酒は無いと思いますが。

クラブカー。こんなのもある。

クラブカー。こんなのもある。

 

ルクソール到着までは良かったものの・・・

ルクソールまではそんな感じでしたが、着いてからが面倒。

ホテルのピックアップを電話で事前に頼み、着いてからも再度電話。
「オッケー!車を向かわせるから待っとけ」と言ってたのに一向に来ず。
さらに15分後に催促の電話をしても「おーごめん、もうちょっと待って」だったのに、
1時間弱待ってまた電話したら誰もいないからタクシーで来てくれと。。

周りはタクシーだらけだが、ふっかけまくりなので歩いてみたら、
Google Mapsの位置がまちがっていて、結局タクシーに乗る羽目に。。

真夜中のルクソール駅到着

真夜中のルクソール駅到着

なお、タクシーはふっかけまくりなので気をつけましょう。
15L£(約180円)までは十分下げられますが、面倒なら20L£(約240円)で手を打ちましょう。
本当は10L£(約120円)か、それ以下だと思いますが。。

だいたい、最初はひとり25L£、ふたりで50L£だ、とか、すごいことを言ってきます。

 

最後に

僕たちは2016年11月4日にこの方法でうまく乗れましたが、非公式な方法ですので、必ず大丈夫とはいえません。
期間によっても変わると思いますし、少なくとも夜行列車の方が快適です。

利用は事故責任にてお願いします。

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また、この記事を読んでやってみたという方、コメントにて体験をシェアいただけると、今後の方の参考になるので嬉しいです。
ご自身のブログ記事へのリンクでも結構です。
よろしくお願いします。

 

(ご参考)事前に調べていた情報

いろいろウェブサイトを見ましたが、ここが一番参考になりました。

Train travel in Egypt . . .

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